2010-11-29

空也上人立像 ( 京都 六波羅蜜寺藏 )





6体の阿弥陀像は「南無阿弥陀仏」の6字を象徴し

空也の彫像は、六波羅蜜寺が所蔵する立像(運慶の四男 康勝の作)が、最も有名である。他には、月輪寺(京都市右京区)所蔵、浄土寺(松山市)所蔵、荘厳寺(近江八幡市)所蔵が代表的である。いずれも鎌倉時代の作で、国指定の重要文化財である。

彫像の造形は、特徴的である。一様に首から鉦(かね)を下げ、鉦を叩くための撞木(しゅもく)と鹿の角のついた杖をもち、わらじ履きで歩く姿を表す。6体の阿弥陀仏の小像を針金で繋ぎ、開いた口元から吐き出すように取り付けられている。この6体の阿弥陀像は「南無阿弥陀仏」の6字を象徴し、念仏を唱えるさまを視覚的に表現している。後世に作られた空也の彫像・絵画は、全てこのような造形・図像をとる。